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2010. 09. 30

【プロ漫画家インタビュー】木城ゆきと先生

木城ゆきと先生インタビュー

「1000ページの完成原稿を描いてプロになる」

(インタビュー・編集:菊池 2010/9/30)
木城 ゆきと先生。東京都出身。代表作はSF漫画『銃夢』。繊細なタッチと大胆なアクション描写で人気を得る。
濃密な設定のSF要素は海外にも輸出され、高く評価されている。(wikipediaより)

代表作『銃夢』

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銃夢:集英社「ビジネスジャンプ」1990年~1995年連載 単行本全9巻

『銃夢LASTORDER』
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銃夢LASTORDER:集英社「ウルトラジャンプ」2000年~2010年 既刊14巻
外伝1巻2011年新春より講談社「イブニング」にて連載再開

 

Q:木城先生はどうして漫画家になりたいと考えられたのですか?
A:漫画家に憧れたのではなく、自分にとって最高の作品を作りたいと考えた。それが漫画という手法だった。(*1)高校1年生で始めた漫画製作、同人誌作りもしたことがあるが、夢を語ることが心地よいというだけの人もいた。その時自分は、夢ではなく到達すべき目標として、山の頂上に登っていくように、きちんとプロセスを踏んで到達していきたいと考えた。(*1)ゆきとクロニクル http://jajatom.moo.jp/y-shosai/cn8/chronicle_1980_02.html

 

Q:1000枚原稿を描けばプロになれる(*1)と言われている意図を教えてください。
A:漫画家として全くの素人の段階で、1000ページ完成原稿を仕上げたら1人前と言われて、尻込みする位ならプロになるのは諦めた方が良い。それくらい厳しい世界。やってやろうじゃないか位の気持ちが必須ということ。

 

Q:1000ページとは大変なことだと思いますが、沢山描くとどうなりますか?
A:絵が変わる。最初の頃は数をこなすのに手こずるが、場数を踏むと線から変わっていく。これだけは誰でも絶対に変わる。絵が変わってから先は人によって成長が違う。私の場合、線を一本引くにも、物凄く悩んで、考えつくして描いて上手くなっていった。そして、「考える」ただひたすら「考える」「考える」「考える」 例えばこんな自問自答。面白く描くにはどうしたら良い?→そもそも面白いとは何か?→など。自分はこれが面白いのだと、自分に胸を張って言えるものを突き詰めていき、プロとして描ける様になっていく。

 

Q:プロ漫画家になる条件はありますか?
A:漫画家になるには、プロの漫画家として何か一つきらめくものがないといけない。自分の場合、それは「構成力」だと思っている。自分の場合は一つの作品を完成させるまでに、考えないとならないことが非常に多い、ひとコマひとコマ本当に迷いながら描き続けた。ファンには天才と言われることもあるが、自分としてはほとんど努力や苦労で身につけたものという自覚があって、描き続ける事を通して努力してきた。そういう意味では努力することが出来ることも才能。絵にしてもキャラクターにしても、自分の中にある精神部分が、外に出ているに過ぎない。世界の流行と自分にとって本当に面白いことを比較して見極め、究極のものを作るのが漫画家の使命とも言える。漫画とは、何かを自分なりに考えつくしたかたちで表現する存在である。良い漫画を描くことは特殊技能で、訓練で身につかない部分もある。画力、ストーリー、キャラ、演出と多岐に渡る才能があって初めて成功できる。本当の意味で良い漫画家は、相手(編集さんや読者など)が期待している以上の事が出来ないとプロとは言えない。しかし、それは非常に難しいことで、誰にでも出来ることではない。

 

Q:木城先生から見て、トキワ荘プロジェクトの良いところはどんなところですか?
A:安い家賃は魅力、自分の若い頃にあったら入居していた(笑)同世代にライバルがいることは非常に良いこと。自分は周りに同世代の作家がおらず、歳の近いマイクタイソンに対し、彼が19歳で世界チャンピオンになったときから、ライバル心を燃やしていた。共通の話題を持つ仲間が足を引っ張ることもあるが、そういったことは自己責任。最後は自分自身の志の高さが全て

 

●編集後記:本当は他にも非常に面白いお話を沢山聞かしていただいたのですが、今回は漫画家育成とトキワ荘プロジェクトのことに絞りこんで掲載させていただきました。木城先生、ありがとうございました!