24時間、夜通し語り合える仲間との出会いなど、ここでしかできない経験ができた。
── トキワ荘プロジェクト参加のきっかけを教えてください
参加を迷っていた時、大学の恩師にトキワ荘プロジェクト卒業生のカメントツ先生を紹介いただいたんです。
カメントツ先生に色々と相談したうえで応募、という経緯がありました。
審査が通ったので無事トキワ荘プロジェクトに参加することに。
トキワ荘プロジェクトは漫画と真剣に向き合う人が集まっているというイメージが強くて
入居者同士の交流は必要最低限になるのかな、と思っていました。
ですが、実際に入居してみると、気軽に話かけてくれる方が多かったです。
余談ですが、カメントツ先生と都内で待ち合わせていた時タクシーで颯爽と現れて、
まさに人気作家という姿に夢を見させてもらったのを今でも思い出します。
「いつかこうなりたい」と思いましたね。(笑)
── 参加後はどのように過ごしていましたか?
マンガ業界に入って、少しでも漫画のお仕事を頂けるように…という目標をもって過ごしていました。
まだ道半ばではありますが、漫画の仕事を紹介いただく機会もあり、チャンスは思った以上に多かったです。
時には、同じハウスの入居者に招かれた飲み会で、プロの作家との繋がりを持つことができたり、次につながるものを得られた1年だったと思います。
── 共同生活ではどんな思い出がありましたか?
同じハウスの入居者で、卒業後もご飯いったりして仲良くしている人がいるんですけど、仲良くなったきっかけがちょっと特殊で…
実は、その人が引っ越す前日まで、生活リズムだとかタイミングが合わずにちゃんと喋ったことがなかったんです。
そのまま、引っ越し当日になって…
その日はちょうど、自分も家にいる日だったのですが、共有部で会ったときに「ベッドの解体を手伝ってほしい」と声をかけられたんです。
特に断る理由もなかったので、ベッドの解体を手伝うことになりました。
じっくり話すのは初めてでしたが、一緒に作業をしながらいろんな話をしているうちに、すごく意気投合して。
それから、その人が出ていく24時間くらい、部屋で夜通しお酒を飲んで話し合いましたね(笑)
今までそんなに話したことなかったのに、腹割って話してみると
考え方の違いはあるけど、同じ漫画家を目指す者として根本的な部分は一緒なので、共感する部分が多くて。
彼目線の話もたくさん聞くことができました。
この経験がお互い糧になって、今もこうして関係が続いているのだと思います。
大学でも漫画の仲間はいましたが、こんなに熱く語れる友だちって貴重なので、トキワ荘プロジェクトのいいところを一番実感しましたね。
トキワ荘プロジェクトでしかできない経験が、自分が思っていた以上にできたと思うし、入れてよかったと、感謝しています。
2020年3月23日