トキワ荘プロジェクトへの参加は、漫画家としての大きな一歩だった。
トキワ荘プロジェクトに参加した当時は、6人規模の戸建てシェアハウス生活。その後40人規模の多摩トキワソウ団地での集団生活も経験したT Kさん。
T Kさんが多摩トキワソウ団地で体験した、漫画家志望同士の交流の様子や今後の目標についてお話を聞きました。
── トキワ荘プロジェクトに参加する上で重視したことはありますか。
漫画を描く環境ですね。
漫画に対して真剣な思いで参加する方が多いのかどうかを、特に重視していました。
私は周りに流されやすいタイプなので、それを逆手にとって周りが真面目に漫画を描いている環境に身を置きたかったんです。
── 参加前はどのような環境だったのでしょうか。
美術系の学校に通っていたのですが、周りは画家志望の方が多かったので漫画の知識を持っている人がほとんどいなかったんです。
なので、一人で漫画を描いていたんですけど、全然進まなくて。
── トキワ荘プロジェクトに参加してからは進むようになりましたか?
そうですね。描くスピードはあまり変わらなかったんですが笑
それと、内容を考えるときにみんなが色々と意見をくれたりしたので、ちょっとずつ漫画を作る上での基礎というか基盤ができたのかなと思います。
時には、自分から同居人に「締め切り大丈夫?って言って!」ってお願いしたりして笑
そうすると、みんなが締め切りを教えてくれるので「描かなくちゃ!」って気持ちになりました。
── 締め切りなどの目標もみんなで共有していたんですね。
はい。例えば「次のコミティアに出す!」という目標もみんなで決めたりしていました。
目標の約束は親とでもできると思うんですけど、同い年くらいの人とするとやっぱりまた違って。
より頑張らなくちゃって気持ちになります。
── T Kさんは、参加当時6人規模シェアハウスから40人規模の多摩トキワソウ団地へ移りましたが、何か変化はありましたか?
大人数になっても、やさしい方が多くて相変わらず楽しかったです。
わかりやすくいうと、学校みたいな感じでしたね。久々に高校を思い出しました。
みなさんしっかりと漫画制作をこなしながらも、ゆとりがあったりして。
── 漫画制作面で、みなさんで取り組んだことはありますか。
私はあまり参加しなかったんですけど、みんなで一冊のノートに落書きしたり、2ページ漫画を即興で作ったりしていました。
見させてもらったら、もうみんなすごく上手で。
── 参加していなくても、見るだけで参考になりそうですね。
── 共同作業もしていましたか?
コミティアの締め切りに間に合わなさそうな人たちで作業していました。
その時、余裕がある人たちがご飯作ってくれたりしたんです!
料理上手な人がピザを焼いてくれたりして、お母さんがいるみたいな感じでした笑
── それはとても素敵な経験ですね!
── 制作面以外ではどのような交流があるのでしょうか。
山登りや花火大会のような不定期なイベントがあります。
全部のイベントには参加できなかったんですが、私は花火大会に参加しました。
最近だと、私が甲斐谷荘への移動が決まったので、ありがたいことに送別会を開いていただいたんです。
その時に、みんなでラウンジに集まってタコパをしました。
── T Kさんは今後、甲斐谷先生の指導を受けることになったんですよね。移動後の目標はありますか?
まずは甲斐谷先生にネームを見ていただいて、ちゃんと自分の話を作って、担当さんをつけて…と。
一つ一つできることをしていきたいです。
── できることから一つずつ、精一杯頑張ってください!
── 終盤になりますが、T Kさんは特にメディア取材を積極的に受けていただきましたよね。取材を受けてみた感想を教えてください。
取材を受けることで、自分の中の漫画制作に対して思考の整理や言語化ができたと思います。
むしろ言語化できないようなことは自分の中で全然よくわかっていなかったんだな…って改めて感じさせられます。
それと、メディアの方々は私の印象をよくしていただいて…ありがたいことです笑
── この経験は漫画家になっても活きてくると思います!
── では、最後になりますが、これから参加される方へ一言メッセージをお願いします。
私はこのプロジェクトに参加したことが大きな一歩になりました。
家の中で一人、ひっそり描いていて辛い思いをしていたり、周りに相談できる人がいなかったりする方にとっては、本当にいい機会になるかと思います!
2022年4月28日