目の前のチャンスには全部トライ!レジカスタジオの仕事紹介が転換点に

参加者の声
白瀬 いとし
日野地域未来ビジョン2030ストーリーブック」制作担当
日野市市政施行60周年記念誌イラスト担当
ミステリーボニータ2024年4月号読み切り掲載

仕事を辞め、3年間マンガに全力投球する

── 白瀬さんがマンガ家になろうと思ったきっかけをお聞かせください。

絵を描き始めたのは幼稚園生の頃で、描いたものが先生に褒められたり喜ばれたりしたことが嬉しかったんですよね。
小学生になって親に少女マンガ誌を買ってもらったことでマンガに出会い、自分もマンガ家になりたいと思うようになりました。

── その後マンガ家を目指して、具体的にどのような活動をされていたのでしょうか。

高校生の頃から読み切りを書いては出版社に送っていて、社会人になってからも地道にコツコツと続けていました。

── トキワ荘プロジェクトのことは、どちらでお知りになりましたか?

以前、トキワ荘プロジェクトが運営していたマンガ講座を受講した時に出会った方がプロジェクトの参加者で、その方から聞いて知りました。

── プロジェクト参加を決めた理由をお聞かせください。

マンガ講座を修了した後、約2年間は働きながら1人で活動していたのですが、結果が出ない状況が続きました。そんな中、講座で知り合った方と久々に連絡を取った際に、改めてトキワ荘プロジェクトを紹介していただいて、参加することに決めました。

── 現状を打破するために、プロジェクトに参加することにされたのですね

せっかくの機会なので仕事は一旦ストップして、気持ちを切り替えて3年間全力投球することにしました。トキワ荘プロジェクトの入居期間は概ね3年を区切りとしていて、働かずに生活するにあたって自分の気持ちとしても3年が限度だということもあり、期限を決めて頑張ろうと思いました。

より深くマンガ家の世界の実情を知る

── トキワ荘プロジェクト参加にあたって、重要視したことはありますか?

どれだけ多くのプロのマンガ家やマンガ家志望の方と出会うことができて、マンガ家になるための糸口を掴めるかを重要視しました。

── 他の参加者との交流はプロジェクトの醍醐味ですよね。

プロジェクトにはデビューしている方から、マンガを描き始めて日が浅いという方まで様々な段階の方がいます
ですが、「マンガ家を志望している」という共通点があるので話しやすい環境です。

── 参加者との交流が、自分の作品に影響を与えたと感じることはありましたか?

誰かが作業しているのを目の前にすると、やっぱりすごくやる気をもらえます。

自分も頑張らなきゃ。負けたくない!という気持ちが湧き上がってきますね。

── 創作にもってこいの環境ですね!そして、マンガ家になる糸口を掴めるかという点についてはいかがでしたか?

想定していた以上の、マンガ家の世界の実情を知ることができました。

例えば、まず賞を取ることを目指すべきだとか、多くの編集者さんに会いに行くことも大切だとか、どれくらい積極的に連絡していいかなど、具体的にとるべき行動のビジョンが明確になりました

その後は自分でアポをとって10社以上の編集部に持ち込みをするなど、プロジェクトに頼り切りにならず、自力でも積極的に行動しましたね。

出張編集部で自分が心から目指してきたものを再確認

── トキワ荘プロジェクトでは様々なサポート体制が用意されていますが、印象的なプログラムはありましたか?

特に思い出深いのは出張編集者としてきてくださった編集者さんとお話ししたことですね。

毎年冬頃に開催される『LEGIKA UP』というイベントでは多くの編集者の方が来られて、マンガについて相談することができるんです。そこで得られた情報を、他の参加者たちと共有し合うなど、とても貴重な経験ができました。

『LEGIKA UP』

『LEGIKA UP』は、トキワ荘プロジェクト参加者や編集者・企業の方々が一堂に会する年に1回の節目となるイベント。人気編集部による出張編集部・相談会や、プロジェクト参加者の中から1年間で特に活躍された方を讃える表彰式などが行われる。

『LEGIKA UP』

『LEGIKA UP』は、トキワ荘プロジェクト参加者や編集者・企業の方々が一堂に会する年に1回の節目となるイベント。人気編集部による出張編集部・相談会や、プロジェクト参加者の中から1年間で特に活躍された方を讃える表彰式などが行われる。

── 出張編集者とはどのようなお話をされましたか?

私はどうすればマンガ家になれるのか迷っていました。デビューを目指すにあたって、比較的チャンスの幅が広い媒体を狙っていくべきか、枠が限られていても誌面を目指すべきなのか…。そのことを編集者さんに相談すると、「自分にとって納得のいくものや、心から目指してきたものは何か、自分と向き合って考えた時にどっちがいいかな?」と話してくださったんです。

そのおかげで、私は自分の作品が誌面に掲載されることやアニメ化したいと思っている、ということを自覚することができました。子供の頃からの本心を掘り起こしてもらえたことが、すごく印象に残っています

自分を応援してくれる人がいると感じられる環境

── 白瀬さんは、レジカスタジオが実施する公募に応募して、のストーリブック「ヒノタネ」制作のお仕事を獲得されていますね。応募に際して意識したことはありますか?

目の前にあるチャンスはとにかく全部掴みに行くという姿勢で、ストックしていた作品を送りました。

── 白瀬さんが選ばれて、制作はどのように行われたのでしょうか。

まずは日野市のイベントに参加したり、地域活性化に取り組む方にインタビューさせていただいたり、大体4ヶ月は取材に費やしました。

そして、その都度日野市の方とレジカスタジオの編集者と作品の方向性についてヒアリングと会議を重ねました。

作品は印刷し配布される約30P程度のマンガで、制作工程から製本までの一連の流れを経験できる貴重な機会でした。

── 制作にあたって大変だったことはありましたか?

クライアントが求めるイメージに焦点を合わせることに、とにかく力を入れました
その甲斐あって、自分のアイデアを提出した時もスムーズに受け入れてもらえたので、最終的には問題なくクリアできたように思います。

── レジカスタジオと連携としての仕事ですが、制作にあたってフォローなどはありましたか?

レジカスタジオの編集者の方々は本当にマンガを好きでいてくれて、制作に関するフォローも全力でしてくださいました。
何よりも、自分を応援してくれる方がいるということが感じられて嬉しかったです。

── 完成した作品を手にした時のお気持ちをお聞かせください。

嬉しくて、近所迷惑にならないように静かに叫び散らかしました(笑)。

完成披露イベントでは舞台にも立たせてもらったのですが、目の前に作品を読んでくれている方がいて、直接「感動した」と感想を伝えてくれる読者がいて、その感動を心から噛み締めました。

完成披露イベントでのヒトコマ

「ヒノタネ」の制作は、私にとって人生のターニングポイントと言っても過言ではない経験でした。

こうしたチャンスが得られるのは、トキワ荘プロジェクト入居者の大きなメリットだと思います。

ヒノタネ

日野のありたい姿を描いた、日野地域未来ビジョン2030の策定にあたり、中学生を中心とした若い世代を対象に分かりやすくビジョンを伝えるために作成されたストーリブック。 こちらから見ることができます

ヒノタネ

日野のありたい姿を描いた、日野地域未来ビジョン2030の策定にあたり、中学生を中心とした若い世代を対象に分かりやすくビジョンを伝えるために作成されたストーリブック。 こちらから見ることができます

“マンガ”という商品を売るためにすべきことを実行する

── 白瀬さんは、今後どのような活動をされるご予定ですか?

「ヒノタネ」ともう一本の読み切りをたくさんの編集部に持ち込んだところ、ある編集者の方とご縁がありました。そして2024年3月6日発売の雑誌、秋田書店ミステリーボニータにて読み切りが掲載されました。

── デビューおめでとうございます!今後は、どんなマンガを描いていきたいですか?

アニメ化できるくらいクオリティの高い作品を作りたいという夢は変わらずあります。

あと、私は今までマンガのおかげで頑張ってこられたところがあるので、読者の親友になれるようなキャラクターが描けたら、本当に夢が叶ったと言えるのではと思います。

── 最後に、トキワ荘プロジェクトに参加したOBOGとしてこれから参加する方へメッセージをお願いします!

トキワ荘プロジェクトで得たいメリットは何かを考えて、あとは自分が“マンガ”という商品を売るためにすべきことを順序立てて実行してください

トキワ荘プロジェクトは本気でマンガ家を育てるために作られたプロジェクトなので、運営している人たちの熱い想いに応えられる人に、ぜひ参加してほしいと思います!

── 白瀬さん、ありがとうございました!

(取材・文/松尾しのぶ)

2024年3月18日

白瀬 いとし
日野地域未来ビジョン2030ストーリーブック」制作担当
日野市市政施行60周年記念誌イラスト担当
ミステリーボニータ2024年4月号読み切り掲載