国際漫画賞「京まふ漫画賞」&「マンガ出張編集部@京まふ」アフターレポート
9/20は、トキワ荘PJの主催イベントとして、京都国際マンガ・アニメフェア2015の中で、出張編集部を開催しました。
今年で4年目の開催で、マンガ雑誌、アプリなど59編集部にプラスして、ゲームキャラデザイン企業による就職相談コーナーなど、漫画家志望者は勿論、一部イラストレーターの志望者にも対応できる形で、37ブースにて開催しました。
4年目を迎える今年は、西日本のマンガ関連大学・専門学校との連携を強化し、26の学校に開催情報などを事前連絡して連携しました。学校によっては、年間スケジュール内にて、カリキュラムの一貫として、この出張編集部@京まふの9月開催を組み込んでもらうなどしていただきました。結果、高校・専門学校・大学など、多くの学生が持ち込んでくれました。
京まふ漫画賞開催
今年から「京まふ漫画賞」という国際漫画賞を開始しました。詳細はこちら。
この漫画賞は、京都国際マンガ・アニメフェアの「国際」の部分を、漫画家支援の出張編集部の中にも取り入れようということで、京まふ実行委員会委員長かつ、手塚プロダクション代表取締役の松谷社長からの声がけがあり、トキワ荘プロジェクトで事務局をさせていただきました。
まずは台湾一国からという試験的な開催でしたが、2週間の応募期間に、30人40作品の、想像以上に高レベルな作品が集まり、ANTENNA牛魚さんという、台湾同人業界No1の方が受賞され、賞品の「通訳付京都持ち込みツアー」に来ていただくことになりました。
表彰式は、その手塚プロ松谷社長から、表彰状と、手塚ファンの牛魚さんのために、即興で副賞となった、手塚グッズが授与されました。
左から:通訳兼コーディネーターの呉さん、受賞者の牛魚さん、手塚プロ松谷社長、筆者
副賞の手塚グッズは、リボンの騎士のTシャツなどでした。
牛魚さんは今回、各種レセプションなどに引っ張りだこで、観光もままならない京都旅行でしたが、この後の出張編集部では、多くの編集部に持込、早速具体的な手ごたえを得たとか。彼女たちの日本での活躍が楽しみです。
台湾でのニュースにもなりました。(リンク先は台湾語です。)
牛魚さんから聞いた、台湾の漫画家事情も興味深かったので、後ほど別の記事にするかもです。
マンガ出張編集部@京まふ2015
出張編集部の準備は前日(9/19)からです。設営完了時の写真がこちら。
これはこれで壮観ですよね。毎年、現場が戦場みたいになる前に眺められる、好きなシーンです。
11時の開場に合わせ、10時には東京から編集部の皆さんが集まってきます。私たちにとっては年に一度のことですが、編集者さんたちにとっては、年に4回のコミティアさんほか、多くの場所でのいつものこと、テキパキと準備が進んでいきます。
開始の少し前から朝礼をします。今年は、京まふ漫画賞の授賞式もありつつですが、ほぼ毎年こんな感じになります。
この写真に写っている、90%はマンガ編集者さんです。70~80人くらいいると思います。こんなに沢山編集者さんが集まることもそうはないでしょうし、人前で話すことが多い私も、これは別の意味で緊張します。とはいえ、面白いことを言う必要もありませんので、淡々と連絡事項をお伝えします。
今年は、手塚プロの松谷社長から、手塚語録として以下のお話をしていただきました。
手塚治虫が若き赤塚不二夫にしたアドヴァイス: 一流の映画を見なさい 一流の音楽を聴きなさい 一流の芝居を見ろ 一流の本を読め 漫画から漫画の勉強をするな (ETV 全身漫画家~真説・赤塚不二夫論) 手塚先生の描いたハンサム赤塚不二夫 pic.twitter.com/8rY34uSvYx
— ヤマザキマリ Mari Yamazaki (@Thermari) 2015, 9月 5
『ブラックジャック創作秘話』などでも有名ですが、松谷社長は手塚治虫担当編集者から、マネージャーとなり、現在の手塚プロ社長となられた方です。この話を聞く編集者の皆さんの顔つきは、皆さん何かしらの手塚作品を思い浮かべてるんだろうなぁという、良い表情になられます。これも、司会側に立つ私にしか見えない風景ですね。 毎年、各編集部さんの装飾が楽しみなのですが、今年のインパクトは手前の真っ赤な『ジャンプ+』さんが強烈でした。 また、女性誌・少女誌の媒体の飾りつけは、さすがにかわいいのです。これも楽しみです。 そして、毎年の出張編集部@京まふ出展者の中で、最大のリツイートをたたき出す常連が、まんがタイムきららさんです。
今年も、京まふで、出張編集部開催中じゃ! 素敵な原稿を持ち込みに来てくれた方には、感謝の気持ちを込めて、「ごちうさ」販促カードを差し上げたりするかもしれんぞ! #gochisa pic.twitter.com/lPJPoDPKb9 — まんがタイムきらら編集部 (@mangatimekirara) 2015, 9月 20
毎年、一押し作品タイトルは変わりますが、ほんとにさすがです。元トキワ荘PJインターンのM村氏が、このあたり仕掛け人です。ちなみに、現在トキワ荘PJスタッフのOBOGが3人、入居者が2人、漫画編集者さんになっています。
今年の出張編集部の事前応募者数は360名を越えました。この人数が、効率良く多くの編集部に持込が出来るように、当日のオペレーションには、かなりの準備と工夫をしています。
スタート時の受付3人娘の様子。普段はニコニコしてるうちの娘さんたちですが、ここはキリっと。
開場前の行列はこんな感じです。こちら皆さん、漫画原稿を抱えて気合十分です。
志望者の皆さんがなだれ込むと、会場は一気に戦場のようになります。
緊張感がありますねー。
会場は一日中こんな感じです。
今年は、持込の方々以外にも、一般の方や関係者の見学が増えたように思いました。全体的に盛り上がったように思います。
実際に来場した漫画家志望者は、314名でした。持込をする際は、編集部にも持ち込むたびにエントリーシートというものを用紙に記入してもらっているのですが、こちらで用意した1000枚の紙が全て無くなってしまいました。一人平均3.3回以上の持込をしているということになります。みなさん本当に頑張って持込をしていたと思います。
また、終了後の漫画家志望者交流会には、50名ほどの方に参加いただき、そちらも盛り上がりました。来場者アンケートによる満足度も、良い回答がならび、一部課題を残しつつも、良いイベントとなりました。ご参加いただいたみなさま、まことにありがとうございます。
おかげさまで、マンガ出張編集部@京まふは、西日本最大規模となっています。実は会場のキャパシティの問題から、いくつかの編集部さまには出展をお断りしている申し訳の無い状況です。
予算などの関係から年に1度しか西日本では開催できないこのイベントのこと、来年以降は、キャラデザ就職コーナーや、各編集部の個別PRなど、様々な要素を追加して、内容や日数など、来年に向けて更なるバージョンアップを検討していこうと考えています。
2015年11月追記
京まふ漫画賞受賞者ANTENNA牛魚さんによる、受賞から京都訪問までのレポート漫画です。
2016年3月追記
京まふ漫画賞受賞者ANTENNA牛魚さんが、出張編集部の持込を経て、小学館ヒバナに連載決定!
初開催の漫画賞としては、快挙だと思います。