「仕事として」漫画を描いていいと思えるようになるまで。

参加者の声

会社員やアルバイトを辞めてから、トキワ荘プロジェクトに参加したMさん。
プロジェクトに参加しながらもどこか、漫画を描いている生活に罪悪感をもっていたそう。
そんな彼女が「漫画を描いて暮らしてもいいんだ」と思えるようになった、トキワ荘プロジェクトでの出来事とはーー。

M.Mさん
トキワ荘PJ卒業生(女性)(2019年から1年3ヶ月間在籍)

価値観を変えてくれた場所だった

── 今日でトキワ荘プロジェクトを卒業されますが、参加してよかったと思うことはありますか?

それは、たくさんあるのではないでしょうか…。

中でも入居してすぐ、同居人に「漫画描いてて、えらい」と言われたことが印象に残ってます。

トキワ荘プロジェクトに入る前は会社員をしたり、転職してアルバイトしたりと、人生迷走していました。
最初は一般企業で正社員として働いていて、よくある人生を送っていたと言えると思います。
ここに入居してすぐの頃の私は、漫画家を目指すことに対する不安はもちろんあったのですが、
それよりまず「外に働きに出ず漫画を描いていていいのかな」という罪悪感もありました。

だけどここでは、漫画を描いていることを「偉い」と言ってくれる人がいて。
その言葉にすごく驚きました。

同じ家には、連載をしている人もいるし、アシスタントで生計を立てている人もいる。
漫画を描いている人が身近にいてくれることで、「こういう生き方をしてもいいんだ」と、価値観が少しずつ変わったのだと思います。

それまでは、周りと違う生き方をしていると思われるんじゃないかとか、人目を気にしているところもありました。
そんな自分がいま「漫画を描いて暮らしてもいいんだ」と思えるようになったことが、トキワ荘プロジェクトに入って、一番大きかったことですね。

── トキワ荘プロジェクトでの共同生活が、「漫画を描くこと」を肯定する場所になれて嬉しいです。

── Mさんは自分が描いているジャンルを同居人にオープンにしていたんですか?

入居してすぐの同居人が開いてくれたご飯会で、「どんな漫画を描いてるの?」と聞かれて、流れのままBLですって言ってました笑

── 気軽に打ち明けられる空気感だったのですね…!

── トキワ荘プロジェクトに参加してから、マインドセット研修も受けたかと思いますが、研修が役に立ったことはありましたか?

マインドセット研修とは

トキワ荘プロジェクトの成長支援の一環で、提供している研修。
漫画家として3年後にどうなっていたいのか、また自分の決めた目標に対してどのように努力すると効果的なのかを考えます。
詳細はホームページから▼
https://tokiwa-so.net/programs/seminars#seminars02

今までの人生を振り返って、モチベーションの変化をグラフに書くワークがあったんです。

── モチベーション曲線ですね…!


描いてみると、自分のモチベーションが上がるのは「なにか新しいことを始めるとき」だと気づきました。
これは、トキワ荘プロジェクトの卒業を後押ししてくれた面もあります。

トキワ荘プロジェクトのこの家は、とても気に入ってるんですけど、
自分は環境を変えることでモチベーションが上がると知っていたから、ここを卒業する決心ができたんだと思います。

〆切を守るコツは、0点でも自分を許してあげること

── 本日のインタビュー前に、Mさんの活動報告を拝見しました…!

~~活動報告とは~~
トキワ荘プロジェクト参加者が、毎月1日に事務局へ提出する1か月間の活動の記録。
内容は、「この1ヶ月で決定した掲載や受賞の実績」や「先月のインプット」、「先月の目標と達成率」、そして「次の1か月の活動予定、目標」など。
トキワ荘プロジェクト参加者は毎月1日に活動報告を提出することで、1か月間の目標設定⇒実行⇒振り返りのサイクルを実現させています。

活動報告は、結構好きでした。

生活リズムが違って、同居人と顔を合わせなかったりすると、
「この映画みた」とか「この本よんだ」とか聞いてくれる人がいないじゃないですか。
活動報告の提出が、誰かにそれを話す機会になっていたので有難かったです。

── 活動報告を、アウトプットの場として活用してくださって、ありがとうございます。

── Mさんの報告を見ていると、漫画を描き続けるモチベーションの維持など、セルフコントロールのプロだなと感じたのですが…。

そんなことないんです(笑)

ただ、自分で0点だと思った作品でも、とにかく担当さんに出すようにしています…。
「出ない神作品よりも出る駄作」だと思っているので…。
〆切を守るコツは、結論を言えばそれだけだと思います。
こうは言ってるけど、私もいつもできてるわけじゃないです。(笑)

── いやいや…!完璧じゃなくても作品を出すって、なかなかできないことだと思います…。

〆切までに出せた作品のクオリティが、いまの自分の実力だと言い聞かせて。
だから、これまでに出した作品の中でよかったと人が言ってくれたものでも、自分では恥ずかしくて見返せないものもあります(笑)

── 〆切までに出せた作品が、今の実力…響きます。

── ほかにも〆切を守れる秘訣って、あったりするんですか?

オススメなのは、同人誌即売会(※)に申し込むことです。
イベントの日程は自力でずらすことができないので、必死で〆切を守ろうとするじゃないですか。
そういう、強制的に〆切を守らなきゃいけない環境に追い込むと、いいのではないでしょうか…!

それにイベントでは出張編集部があって、出店するついでに編集者に見てもらえる利点もあります。
出張編集部では「せっかく本を作ったんだから、ダメ元で見せてみよう」という気持ちで臨むので、持ち込みや新人賞への投稿よりも、ハードルは低いんじゃないかなと思います。
私は出張編集部でお声がけいただいた方と、連載しています…!
※新型コロナウイルスの完成拡大をうけて、各イベントの開催日程が変更している可能性があります。詳しくは、運営元の公式ホームページをご覧ください。

── たくさんお話聞かせていただきありがとうございました!では最後に、トキワ荘プロジェクトの参加を迷っている方に向けてメッセージをいただいてもいいですか?

本音を言うと明け渡したくないくらいこの部屋を気に入っているので、このまま住み続けるか、引っ越そうか、とても悩みました……。鬱になりそうなくらい(笑)
自分にとって無駄ではない経験ができたと思っているので、悩んでいるなら一度行動してみるのが良いと思います。

── とても貴重なお話を、ありがとうございました!!

2020年9月23日

M.Mさん

トキワ荘PJ卒業生(女性)
2019年から1年3ヶ月間在籍