新人賞からその先へ。同居人と切磋琢磨し叶えた、連載獲得までの道。
トキワ荘プロジェクト参加中にGファンタジー新人マンガ賞の佳作を受賞した快晴杏さん。
14歳という若さで担当さんがついていたものの、受賞までの道のりは決して平たんな道ではなかったと話します。
それでもトキワ荘プロジェクトでの同居人との切磋琢磨を経て、遂には連載獲得へ。
一つひとつ階段を駆け上った快晴さんの、これまでの道のりをお聞きしました。
アストロニーカ/ガンガンJOKER新人マンガ賞受賞
オドのための備忘録/Gファンタジー新人マンガ賞奨励賞
「魔界幼女に転生したおじさんは平和のために魔王になりたい」2022年3月26日より連載開始!
「コミックシーモア」にてお読みいただけます。
── 快晴さんがトキワ荘プロジェクトへの参加を決めた理由を教えてください。
大学生の時に描いたマンガで、今までよりも大きい賞をいただくことができました。
その時に担当さんから、トキワ荘プロジェクトのことも教えていただいたんです。
── そうだったんですね。
── その話が出てからは即決だったんですか?
正直なところ、自分の中では就職しなくていいのだろうか、という迷いもありました。
ただその時に担当さんから「3年くらいなら漫画を描いていいと思うから、やってみたら」と背中を押していただいて。
それで決心がついたのもありますし、「3年でデビューする」という一つの目安ができたようにも思います。
── その後、担当さんがいなくなってしまう一件もあったようですね。
はい、なかなか企画が通らない時期があったのですが、そのときにちょうどコロナ禍がやってきて、
編集部にも思うように行けなくなってしまって…そうこうするうちに連絡が取れなくなってしまったんです。
10年くらいお世話になった方だったので、その当時はさすがにショックでした。
でも、同居人の方が励ましてくれたうえに、担当がいなくなったあとに描いた2本目の作品で、無事に担当さんがついて。
「良かった―」と胸を撫でおろしましたね(笑)
── そこからはどのようにステップアップされたのですか?
新人賞を獲ることがまずは目標だったので、『月刊Gファンタジー』の月例賞に向けて作品を描き続けました。
私はGファンタジーにだけ応募し続けていたので、結果を待つ間は手持ち無沙汰というか、不安でいっぱいでしたね。
── でも、努力が実って…
そうなんです、無事に新人賞で佳作をいただくことができました。担当さんがついて1年半くらいの出来事でしたね。
── 素晴らしいです!
ありがとうございます。結局あと1回、新人賞で佳作をいただいたんですけれど、
自分の中では進んでいないというか、同じところにとどまっているようなもどかしさもありました。
── そうした時に、トキワ荘プロジェクトの同居人と励まし合っていたという話を聞きました!
そうですね、同居する4人が別々の編集部だったのもあって、顔を合わせると「今何描いているの?」と自然と話すようになっていました。
それと、23歳までに新人賞を取りたいと口にしていたら、ありがたいことに同居人にも同い年がいて。
一緒に23歳までに作品を1つ描き上げようと約束して、原稿が上がった後は皆で打ち上げをしました!
── 素敵な関係性ですね。シェアハウスならではのエピソードというか…
本当にそうです。一人だと集中力が欠けてしまう時も、同じ部屋に集まって監視し合いながら漫画を描いたり(笑)
私はこの環境で良かったなと思いました。
── それは良かったです。
── 漫画家になりたい人だけが一つ屋根の下に、なんてなかなかないですものね。
実は入居前、私のなかでは「漫画家をめざす人が住んでいる」というイメージだったのですが、いざ住んでみたら、既に仕事にされている方ばかりで。
知識量もものすごいですし、描き慣れているというか、効率のいい描き方を知っているんです。
おかげで同居人から学ぶことも多かったですし、ネームの立て方などは実際に真似をさせてもらいました。
── 快晴さんは、トキワ荘プロジェクトの講座にも参加してくださったと聞きました。
はい、キャラクター講座に参加しました。私自身は専門学校に行っていたとかではないので、本格的な漫画の勉強をしてないっていうコンプレックスがあって。
独学というのは今後にとっても弱みになりかねませんから、こういう講座があったのはありがたかったです。やっぱり新しい発見がありますよね。
キャラクター講座とは
トキワ荘プロジェクト参加者と卒業生を対象に、開催された講座。
キャラクター作りに悩みを抱える漫画家志望者に向けて、具体的に必要な知識を教えます。
講座の詳しい内容はこちらから ≫
キャラクター講座とは
トキワ荘プロジェクト参加者と卒業生を対象に、開催された講座。
キャラクター作りに悩みを抱える漫画家志望者に向けて、具体的に必要な知識を教えます。
講座の詳しい内容はこちらから ≫
── どのような発見がありましたか…?
キャラクター講座に参加したのですが、制作の中でどうしても出てくる疑問やスランプはどうすれば解決できるのか?自分のやり方は合ってるのか?など一人ではよく分からなかったのですが、
講座の先生のお話を通して先生や他の同業者の対処法などを聞くことで
そんなやり方があるんだ…と目からウロコという感じでした。
トキワ荘プロジェクト2年目あたりで、もう独学の限界を感じていたので、
専門的に学んだ人や経験が豊富な人からピンポイントで意見を聞いたり取り入れたりしていました。
── 企画した側としてもそういう声がとても嬉しいです!
── 何よりこうして快晴さんも、今は立派な漫画家さんに…
はい、おかげさまで連載を始められることになりました!
最初はなかなか電子コミックの横スクロールの描き方に慣れなかっただけに、ここまでたどり着けて本当に嬉しいです。
魔界幼女に転生したおじさんは平和のために魔王になりたい
「魔界幼女に転生したおじさんは平和のために魔王になりたい」2022年3月26日より連載開始!
「コミックシーモア」 にてお読みいただけます。
魔界幼女に転生したおじさんは平和のために魔王になりたい
「魔界幼女に転生したおじさんは平和のために魔王になりたい」2022年3月26日より連載開始!
「コミックシーモア」 にてお読みいただけます。
── やはり雑誌とは違うのですね。
見開きを思い浮かべるとわかりやすいと思うのですが、雑誌だと2ページ分が一気に目に入るのに対して、横スクロールは1ページ目、2ページ目と順に出てきますよね。
ですから描き手としても、目に入って欲しい場面やイラストを1ページ目に、セリフは2ページ目にとか、順を追って目にすることを考える必要があるんです。
── なるほど。でもそれを身に付けた快晴さんなら、他の媒体にも進出できそうですね。
そうなれるように、今後は『SQUARE ENIX』も視野に入れています。そちらにも担当さんが付いてくれているので。
── ぜひ2つで連載を持つ快晴さんを見てみたいですね!このたびは貴重なお話をありがとうございました!
2022年3月26日