MDCレポート1:「プラットフォームからのマンガビジネス展開」池上真之さん

イベント情報
2015.11.01

2015/10/31に、マンガディベロッパーズカンファレンス第1回が、池上真之さんご登壇のもと行われました。

記念すべき第1回目のテーマは、「プラットフォームからのマンガビジネス展開」でした。このテーマを中心に、セミナー・ディスカッション等が行われました。

MDC:マンガディベロッパーズカンファレンスについて、詳しくは以下。

 ◆イベント概要

日付・場所: 2015/10/31(土) トキワ荘プロジェクト 五反田事務所

講師: 池上真之さん(元エブリスタ代表取締役・現サクラスCEO)

タイトル: プラットフォームからのマンガビジネス展開 実務から見えたこと

内容: スマホ小説サイトエブリスタのアプリダウンロード数は1200万超。5年間で450冊以上の書籍化コミック化を展開したほか、映像化、商品化、イベント化など、多くの実績を上げた池上さんから、プラットフォームから見た、現在のマンガ業界やIP展開についてうかがいます。

セミナー詳細:  立上げから6年でコミック化・書籍化450冊超。エブリスタが果たした機能とは?

参考:編集長の部屋:E★エブリスタ池上真之社長(当時)

参加者: 漫画編集者、漫画家、印刷会社企画職、電子書籍プラットフォーム、イベントプロデューサー、Web関係者など。

メディア: アニメアニメビズ、TV朝日、日本経済新聞、朝日新聞デジタル、など。

 ◆当日内容

【セミナー部】 セミナー前半は、エブリスタの実績や、これまでの足跡などについてのお話です。

累計アプリダウンロード数:1,200万回超

投稿作品数:220万作超

月間訪問ユーザー数:770万人超

書籍化作品数:450冊超        

データは『E☆EVERYSTAR yearbook 2014-2015』より

これだけの実績を上げるまで、DeNAとdocomoとの連携で、黒字が出るまで投下された資本や、ネットワークを上手く使いつつも、都度都度しっかりマーケティングを踏まえた意思決定をしてきたということが、印象的でした。

池上さん資料1-2s

池上さんの資料の一部

セミナー後半では、漫画編集者さんのこれまでの仕事と、デジタル化後の仕事の変化などにも触れていただきました。

デジタル化で、一つのマンガのIP展開が進んでいる昨今、編集者や出版社のプロデュースを担う方々の次の形は、大衆消費財メーカーなどでも良く置かれている「ブランドマネージャー」を置き、ひとつの作品を統合的にプロデュースしていく形が必要ではないか。というようなお話をいただきました。

また、現状、ITの活用について、「コストダウン」と理解されている方が多いが、いかにファンの数を増やして、囲い込んでいくかと言う本来のネット企業が行っている機能を、出版社がなかなかもてない。例えば、デジタル事業部のミッションが、作品のマネタイズになっていて、ファンの囲い込みになっていないあたりが、他のネット企業に顧客をどんどん取られてしまう原因になっていると、指摘しました。

池上さん資料4

マスメディアは、n人のファンはn人のファンでしかないが、ソーシャルメディアでは、囲い込んだn人が、nの2乗に比例する効果を持つと言うこと。これを起点に、今の出版社が置かれている状況、すべきことなどを説明していただきました。

20151031MDC4

【パネル部】 パネル部では、セミナーで出てきたことを中心に、参加者の方の理解を深めることが中心となりました。

パネル部では、多くの作品がなぜ生またか?短期間に多くの書籍化、IP展開が生まれた理由など、大きな実績がなぜ生まれてきたかを深堀りしました。特に、今は常識になっている、ネット上、つまりエブリスタでで既に人気になった原作小説が、多くの出版社などに、既にファンのついている作品として評価されたと言うことが大きかったということでした。

また、エブリスタの中から多くのIP展開がされたことについて、単にフィーを多く払ったと言うことのみではなく、担当者が本当に作品を好きであることや、様々な関係者との間のお付き合いなどもあって、展開が出来たと言うお話もありました。

他にも、これからの新人作家は、どんなことに力を注げばデビューしていけるのか?や、エブリスタの中での編集者の役割など、深掘りしていきました。

 

◆来場者の声

・質問者の方々も専門家なので、とてもいい質疑応答でした。

・非常に興味深い話でした。意外といっては失礼かもしれませんが、電子書籍プラットフォームからすでに新作がでていて「漫画カルチャー」の一部を占めていること、そしてその作り方の違いに驚きつつも「ありだな」と思わされました。

・みなさんからの質問内容そのものも興味深かったです。色々な立場の人が集まるだけで価値があるなと思いました。

・目的意識の高い来場者ばかりだったかと存じます。 見当はずれの質問がなかったのがよかったです。

 

◆レポート漫画

トキワ荘プロジェクトOB  戸城イチロ 『サバイバルMDC 第1回』

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